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2024年5月 2日 (木)

弓削商船高等専門学校 練習船「弓削丸(第4世)」お披露目会

Dsc_0424 令和6年3月24日(日)弓削商船高等専門学校では29年振りの4代目となる新造練習船「弓削丸」のお披露目会が有り見学に行って来ました。当日は生憎の雨模様でしたが多くの地元の人達が訪れていました。学校の紹介では約600名の方が見学されたそうです。

新造船の操舵室の見学が出来るなんて滅多に無いチャンスなので最高な気分でした。

舷梯(タラップ)を登り上甲板に上がりますが練習船ゆえに居住区や教室のスペース確保・構造により?結構高く上り、気持ち良い挨拶で在校生が出迎えてくれました。

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まず最初に案内されたのは操舵室です。40年以上前には仕事の関係で長距離フェリーや外航船の操舵室を何度か見ていますが最初に目についたのが傾斜計がデジタル表示に成っている事です。
今でも多くの船がそうだと思うのですが操舵室センターライン上の前面窓の上に振り子の傾斜計が装備されていると思います。時代は進んでいますね~。

Dsc_03805_2 上記、写真は舵輪(オートパイロット)と操船のため両サイドの機器で主機、制御・監視を行います。白い斑点はレンズの雨粒を拭くのを忘れてました。

下記写真はNo.2レーダとNo.2電子海図です。

Dsc_03785舵輪の右舷側に有るのはNo.1電子海図と説明パネルの下にNo.1レーダ画面が有ります。

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*船舶の決まりで同一の機器・設備が左右対称に設置されている場合は右舷側をNo.1左舷側をNo.2とし、前後に配置されている場合は船首側をNo.1と呼称します。

中心が自船の位置で弓削ー佐島ー生名島が橋で繫がっていますね。

Dsc_0385 窓には雨滴や雪の除去用のワイパーと旋回窓が設置されています。

左側のワイパーは自動車の動きと違って、広い視野を確保する必要からワイパーブレードは水平移動します。また旋回窓は中心のモータで丸窓を回して遠心力で雨滴などを吹き飛ばします。

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船首センターライン上にはジャイロコンパスがそして右下にはNo.1国際VHF無線機が設置されています。ワッチ用に、また実習生のために双眼鏡が有ります。その下は双眼鏡の収納箱です。

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右舷No1レーダの後ろには火災警報盤、各種ポンプ操作盤、主機・補機監視制御盤が設置されています。

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操舵室、後方にはNo.2VHF無線機とナブテックス受信機(航海警報、海上警報・予報、捜索救助情報などの海上安全情報を自動受信し印字などの機能)

Dsc_03895左舷後方には無線局としてMF(中波)/HF(短波)無線機(近海区域を航行する弓削丸には設置義務)とインマルサット(海上移動体衛星通信)衛星船舶局が設置されています。世界中どこでも通話はモチロン、ネットの電子メールと同様の通信も行えます。

Dsc_03905両サイドに有るハンディ―無線機は連絡用(入出港時や船内外)右上にあるのは日本標準時と世界標準時の時計。左にある時計は義務船舶局として無線通信士が乗船していた船舶無線局にとっては重要な時計でした。

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毎時の15分過ぎから3分と45分~48分が赤く表示されているのを第一沈黙時間と言って世界中の船舶局と海岸局(船舶と通信する陸上局)は500khzの無線電信(モールス)の呼び出し周波数を聴取する事を義務とされていました。これはSOS遭難信号やOSO緊急信号が発せられていないか確認するためです。また同様に無線電話の場合は緑の毎時の0分過ぎから3分までと30分過ぎから33分までの時間が聴取義務とされていました。

現在はSOSに代表されるモールス信号を主体とした従来の海上遭難通信システムに代わり、衛星通信等の高度な技術を利用することで誰もが遭難・安全通信を迅速かつ確実に行うことができるシステム(GMDSS)が構築され、昔は外航船には必ず無線通信士が乗っていましたが衛星通信が普及した現在では遠洋漁船、官公庁船、巡視船や自衛隊の船でしか乗船していません。今から40年以上前はアマチュア無線が”キングオブホビー”と言われ船舶通信士が花形の職業だったんですが。

日本船には付き物の神棚も祀られていました。

上下に動くメータはそれぞれ船首、船尾の喫水を表示します。

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神棚の下には防災時には船上基地局としての衛星通信機能を装備。

Dsc_03975 実習生が乗船しているための監視用に設備している?。

夜間通行監視警報装置(扉警報表示・通話)

Dsc_03935 コースレコーダとインターホン

Dsc_03945 左盤には上からNo.1・2GPS NAVIGATOR中段にGPS COMPASS下段にはECHO SOUNDER(音響測深器)、右盤にはDOPPLER LOG(船速計)、SATELLITE LOG、水温記録計が設置。

Dsc_03955 以上が操舵室内の装備ですが写真に撮り忘れてた設備にはスラスターの可搬式操作盤とタッチパネルの海図など。

次は操舵室から2階下(上甲板下)の機関制御室に行きました。

自分も建物で「弓削丸」よりも大きい設備(受配電盤・自家発)の保守(電気、機械、通信)をしていたので目新しさは感じなかったけど流石に船乗りを教育するため機器銘板や操作名が英語表記に成っていたね。

Dsc_03985 主機(プロペラを回すエンジン)と付属する各種圧力・温度モニタ

Dsc_03995制御室右舷後方の窓から見たエンジンルーム。

両サイドに600KVAの発電機、中央に主機配置。

左手前に見える太いケーブルが発電機の電気の取り出し口。Dsc_04025↓左舷から見たエンジンルーム手前がNo.2発電機

Dsc_04085機関監視制御盤。中央に本船の形に沿ってアナログメータが配置されている。船首にはバウスラスターの翼角と電流、船尾のプロペラの後ろは可変ピッチプロペラの翼角、舵角指示計など。

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主機、No1、No.2発電機のCO2局所消火装置盤が設置されていますがノズルからCO2が噴射されると思けど、それぞれのエンジン部分に向けて噴射されるのか?区画で別れてたら単純に扉を閉鎖し、その部屋にガスを充満する方法だけど。

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制御室前部の部屋には実習生用の模擬始動起盤・受配電・直流電源設備が有りました。一次側の入力は給電され、二次側の負荷は繋がっておらず操作するための制御系のDC電源が入っており始動器や遮断器などの操作が通常と同様に行えます。操作方法や動作原理を理解するため実機を使って勉強。

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機関制御室の船首方向には教室が有りました。

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最後に船首楼甲板のウインドラス(揚錨機:錨を上げ下げするウインチ)多くは写真のように係船用のホーサドラム付き、を撮影。

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下船し全体を撮影しました。

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新しい「弓削丸」の仕様です。

延長:56.34m、幅10.6m、深さ:5.8m

総トン数:370t、航海速力:12.5kt、定員:60名

また災害支援船としての機能も有しており支援物資輸送はもとより給水、給電および携帯電話基地局として機能します。ちなみに先代の3世、弓削丸は阪神大震災で支援物資の輸送に従事しました。

今回の見学会では乗船前に記念品として大きめのエコバックと紅白餅を頂きました!。

Dsc_04325_2 今回は「新弓削丸」を見学出来て大変良かったです。20代の頃は船舶電気設計の仕事もしていたので新造船を見学するのは40年振りで搭載された設備も時代の流れを飛び越える進歩で見学出来てホント良かったな~。

今回のお披露目会を企画して下さった方、船内で案内して下さった弓削丸の船長をはじめ乗組員の皆さん、弓削商船在校生の皆さん有難うございました。

商船学校の皆さんと船乗に成るプロセスは違うけれど、目標に向かって自分もメチャ勉強もしましたが縁が無かったのか夢で終わってしまいました。リタイヤした今でも船への憧れは有って写真を撮っています。今では絶滅危惧種の無線の免許証。+αの海技免許が欲しかったな~。

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