「結 Line こしき」進水式 内海造船(株)瀬戸田工場
令和6年7月11日、内海造船(株)瀬戸田工場で甑島商船(株)/鉄道建設・運輸施設整備支援機構発注の1,050総トン型の旅客船兼自動車渡船「結 Line こしき」の進水式が有りました。
今朝まで大雨警報が出ていましたが、お昼までにはすっかり雨も上がり昼からの進水式は曇りながらも「進水式の天気は晴れる」のジンクス通りに雨が止んで良かったです。
入場時には何時も通り進水する船の特徴やスペックが書かれたニュースレターと、生産量日本一の瀬戸田レモンの粉末飲料を頂きました。
今日は平日でもツアーでの見学者も有り沢山の人達で賑わいました。
進水式に向け事前作業が佳境を迎えています。
建造中に間違っても滑走台が動かない様に進水台と滑走台とを溶接されているブラケットを取り外していました。
会場で主だった写真を撮り終え、ここだと思う場所で開会を待ちます。
満潮時間に成った頃に合わせ内海造船、社長のエスコートにより甑島商船の社長と夫人が入場し、いよいよ進水式の始まりです。
最初に君が代に合わせ国旗掲揚です。
号鐘が打たれ
進水作業責任者による”よ~い!1ば~ん!”の作業指示によりセレモニー用の盤木が取り外されます。
続いて”2ば~ん、3ば~ん”の号令で右舷・左舷の安全装置の解除を行いました。
そして今日のメイイベントの始まりです。
社長夫人による支綱切断によりシャンパンが割れました。
船が進水しても式典に参加している作業員の人達は責任者からの進水作業終了の号令が出るまで整列したままです。*隣で建造しているのはコンテナ船です。
ニュースレターに書かれている内容を書き起こし、現地で撮った写真を添付して私の知っている範囲で加筆し分かり易く書いてみます。←間違ってたらごめんなさい。
<特徴>
1.本船は2機2軸(主機と言われるエンジンが2機とプロペラを動かす軸が2つ=プロペラが2枚)船型の旅客船兼自動車渡船で、車両甲板への自動車の搭載は船首および船尾に装備されたランプドアにて行います。
船首のランプドアはバウバイザーと言われる船首と一体と成ったカバーで覆われてます。
2.船型は球状船首(バルバスバウ)および双胴型船尾(船尾の舟形が2つに分かれている)を採用し、推進性能と耐航性の向上を図っています。
船は水面に波を作りながら進みます(これを造波抵抗と言います)この造波抵抗を小さくするために水面下に球状の船首を追加すると水面(喫水線)で作られた波と反対向きの波が球状船首で作られ互いに打ち消し合う事で造波抵抗を小さくすることが出来ます。また船尾では渦が発生するので、これを小さくするために流線形の双胴型とにしています。
3.航海中の横揺れを軽減するため、船体中央部にフィンスタビライザを備えています。写真は収納された状態で使用時は羽根が向こうから手前に出て来ます。
4.バウスラスタ1基および、4翼可変ピッチプロペラを装備して出入港時の操船性を向上させています。
バウスラスターは船首に有るプロペラを進行方向に対して90度に取り付けたもので、船を離接岸する時など横移動させる時に使います。(2.写真参照)
4翼可変ピッチプロペラはプロペラの角度を可変する事が出来るので微速から全速域までスムースな速度調整が出来、また緊急停止時にもスムースな後進が出来ます。
一般的に船は車のバックと同じようにエンジンの回転を落としてギヤによるものと、エンジンを停止し、逆回転でエンジンを再始動して後進する方法が有りますが、この方法ではタイムロスが生じます。
5.昇降装置としてエレベータを本船左舷側に装備し、高齢者・身障者のバリアフリー設備として、車両甲板から船橋甲板に移動可能です。
6.省エネ装置として、(4.写真参照)バルブ付きルーパス舵および船尾フィンを装備し、推進性能の向上を図っています。
舵の中央にに付いている球状の物(バルブ)はプロペラの中央にあるボスから発生する渦を整流します。通常の舵の断面は飛行機の羽と同じ形をしていますが、ルーパス舵は舵の後端(プロペラと反対側)部分を緩く若干逆Rの形で、平行部分の形を造った舵。通常の舵に比べ揚力が増し、舵角0度の時の抵抗が若干減るので小さく作れ効率の向上が得られます。←文章だけでの説明は難しいですね。
<主要目>
全 長 約73.00m
幅 (型) 13.20m
深 さ(型) 9.60m
計画満載喫水(型) 3.75m
構 造 喫 水 (型) 3.85m
総 ト ン 数 約1,050トン
載 貨 重 量(計画喫水にて) 約 380トン
車両搭載能力 乗用車のみ 41台
又は乗用車19台及び中型トラック5台 合計24台
又は乗用車17台及び大型トラック5台 合計22台
旅 客 定 員 2時間未満 358名
乗 組 員 20名
主 機 関 ダイハツディーゼル 6DEM-28型 2機2軸
連続最大出力 2,270kwX750/269min-1X2
航 海 速 力 約17.5ノット
資 格 JG第二種船(限定沿海区域)
船 籍 港 鹿児島県いちき串木野市
起 工 年 月 日 2024年 3月 8日
進 水 年 月 日 2024年 7月11日
完 工 年 月 日 2025年 2月上旬
今回の進水はローラー進水と言う方式です。
船台の上に進水台が固定されており、その上にローラーが装備された滑走台が乗っています。
進水する時は船体と一体として固定されている滑走台と沢山の盤木やブラケットなどの付属物が一緒に進水します。これらの付属物は後にドッグ入りした時に取り外されます。
爪にワイヤーが掛けられ滑走台のビットでターンし掛けられてます。
進水する時は片方の爪のロックを解除しワイヤーを解放します。同時に油圧ピストン(赤色)で滑走台を押し出します。
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