「TRANS HARMONY 1」進水式(内海造船 因島)
平成29年8月23日(水)11時50分より内海造船(株) 因島工場においてトヨフジ海運(株)発注によるMS3,000台積み自動車運搬船「TRANS HARMONY 1」の進水式が行われました。
入場時間少し前に造船所に着くと夏休みと言う事もあって既に何時もより沢山の人達が行列を作っていました。今日も、お祝いの瀬戸田レモンの粉末飲料を頂きました。
式場では真夏の眩しい太陽に照らされた重厚感の有る船体がドッシリとした雄姿で出迎えてくれました。
この四角い枠の中は補強されているのでタグボートで直接押す事が出来ます。
*ニュースレターには記載が有りませんが、バルバスバウ(球状船首)で有る事のマークの後ろにバウスラスターのマークが2つ有るので装備されているようです。重心が高く不安定なため仮付けしているフロートで見れません。進水後、艤装岸壁で船内の艤装が終わるとドッグ入りして船底周りのフロート等の付加物は撤去されます。
今日の進水式では命名式より前に船名が分かるのはマズイという事でスペック等が書かれたレジメは進水式が終わって退場時に頂く事が出来ました。写真にも有るように船名幕も風で煽られ無い様にキッチリ止められていました。
ニュースレターによりスペック(仕様)と特徴を自分なりに分かり易く補足しながら下記に記載します。(多少ニュアンス的に間違いがあるかも?。)
< 特 徴 >
1.車両の搭載は、船尾右舷と船体中央右舷のショアーランプ扉から船内に入り、艙内ホールドランプを経由して、各所定のデッキまで自走して行います。
このような自動車運搬船の事をロールオン/ロールオフ型一般貨物船と言い、車単独または貨物を積んだトラックやトレーラーをそのまま運べる船舶です。一般的には略してRORO船と言います。
2.本船は2層のリフタブルデッキを含む9層のデッキを有し、乗用車、トラックおよび重車両等の積載が可能と成っています。
リフタブルデッキ:上下可動出来るように成っているデッキの事で通常は乗用車を積載するデッキを天井まで持ち上げる事で車高の有る車両を積載する事が可能と成っています。
3.電子制御型主機関(ME-C型)エンジンを採用し、燃費低減および低負荷での燃焼状態改善を図っています。
ディーゼルエンジンはその機関のシステム上、特に低負荷での運転時にはエンジンでの燃焼状態が悪く成りカーボン(煤)の堆積や排ガスに大きい影響を与える事と成りそれを改善しています。
4.風洞および水槽試験を行い、風圧抵抗の低減と推進抵抗の少ない流体船型を採用しています。さらに、省エネ型船底塗料の採用や”STEP"、省エネバルブと呼ばれる省エネ装置を備え付けています。
STEP:Spray Tearing Plate:波浪中抵抗増加を低減する省エネ付加物
(船首の錨の下に設置されている三角錐の突起状の構造物です。)
省エネ型船底塗料:喫水線下にはフジツボ等の貝類や藻類の水棲生物が付着する事で抵抗と成ります。この摩擦抵抗が航海に占める燃費に非常に大きなウエイトを占める事から船底塗料の選定が非常に大切に成ります。
省エネバルブ:文章での説明は非常に難しいので以前、2月に投稿した「日昇丸の進水式」を見て下さい。
風圧抵抗:大型自動車運搬船の構造上、受風面積が大きいため風による抵抗を考慮する必要が有ります。船が航行する時、前方からの風による抵抗を少しでも低減するために湾曲した船首構造とし船首部端を斜めにカットした形状に成っています。
全 長 約199.90m
全 幅 32.20m
深 さ 30.33m
満 載 喫 水 8.10m
総 ト ン 数 約50、200トン
車 両 搭 載 能 力( 乗 用 車 ) 約 3、000台
車 両 倉 車両甲板(リフタブルデッキ2層含む) 9層
乗 組 員 25人
主 機 関 日立ーMAN B&W 6S60ME-C8.5 1基
連続最大出力 11,400kw x 105.0min
航 海 速 力 約19.75ノット(約36.6km/h)
船 級 N K (日本海事協会)
船 籍 国 パ ナ マ
起 工 年 月 日 平成27年12月 4日
進 水 年 月 日 平成29年 8月23日
主賓・来賓の入場により進水式が始まります。
女性オーナーの斧により支綱(しこう)が切断され船首のシャンパンが割れました。
シャンパンが割れるとクス玉も割れ巨大船が滑るように海へと進水して行きます。
大型船のため進水した勢いで対岸の島に乗り上げないように3隻のタグボートで曳航します。その後、艤装岸壁へ。
トヨフジ海運(株)、内海造船(株)さん今日も楽しい一時を有難うございました!。
*今日の船を見ながら写真を撮っていると35年以上も前に同じトヨフジ海運(株)さんの4,000台積み自動車運搬船「とよふじ7」を瀬戸田工場での造船に携わったあの頃が想い偲ばれました。
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