フォトアルバム

アクセスランキング

« 海上保安庁 巡視船 「あきつしま」因島出港 | メイン | 「ブルールミナス」進水式 (内海造船 瀬戸田) »

2019年12月29日 (日)

「フェリー みしま」進水式(内海造船 瀬戸田)

_dsc05942 令和元年12月26日(木)11時30分より内海造船 瀬戸田工場において独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構/三島村 発注の1,850総トン型旅客船兼自動車航送船(カーフェリー)「フェリーみしま」の進水式が有りました。

前日深夜から雨が降り、朝方にはどうにか止んだけど今日の天気予報も80%の降雨で相変わらず空模様は今にも雨が降りそうな状況ですが進水式の日には晴れるというジンクスに思いを寄せながら出かけました。

造船所に着いて直ぐに開場時間と成り何時ものニュースレター(進水する船の仕様など)と瀬戸田名産のレモンを使った粉末ジュースを頂きました。

_dsc05571 天に思いが通じたのか、曇ってはいたものの雨が降る事も無かったので何時も通りの写真を撮ることが出来ました。一通り船首から船尾に向かって気になった所を撮影しました。

_dsc05581 満艦飾(国旗や信号旗)で飾られ、くす玉やシャンパンも準備され最高の時を待ってます。

キールの写真です。これは船の横揺れを防止するための物です。

_dsc05611 前方と後方のキールの間に収納されたフィンスタビライザーが有りますが後方のキールの上に何やら・・・。

_dsc05631 網で覆われた開口部が有りますがこれは主機(推進用エンジン)や補機(エンジンルームに有る主機以外の発電機やボイラー、潤滑油冷却器などetcを言います)の冷却水取り入れ口で、上部に有る穴は排水口と思われます。

_dsc05641 推進性の向上のため船尾が絞られているのでプロペラシャフトがこんな感じで設置されています。主機が2機なので左右対称に反対側も同じ構造です。

_dsc05681 今日は学校も冬休みに成っているので幼稚園児から小学校低学年の子供さんを連れた父兄が多く居ました。

何時もの場所に陣取って周りを見渡すと殆どの人がカメラかスマホで写真を撮っています。SNSの普及もあってリアルタイムに情報発信する事で多くの人達で今日の進水式を祝福できますねー!。

そうこうしている内に来賓の方達が入場し、内海造船(株)社長のエスコートによりオーナーの三島村 村長が拍手によって入場され花束が贈呈されました。

国旗掲揚により、いよいよ進水式の始まりです。

_dsc05771 続いて三島村 村長による船名の命名による除幕です。

_dsc05791 船の大小や内航船・外航船に係わらず船名が”かな表示”であったり”漢字表示””ローマ字表示”など有りますが、何か意味があるのかな~!?と何時も思ってます。

号鐘が鳴り進水の準備作業です。

船首にセレモニー用で残された盤木の撤去と進水トリガーの安全装置の解除です。私の撮影位置からは見えないので赤手旗による確認作業合図の写真です。

_dsc05801 いよいよ三島村 村長による支綱切断です。

_dsc05831 船首のシャンパンが割れトリガーのロックが解除され船が滑り下りると、くす玉が割れ5色のテープと紙吹雪が舞い最高の瞬間がやってきました!。

_dsc05871

_dsc05901

_dsc05901_2

_dsc05931

_dsc05971

_dsc06001

_dsc06051

_dsc06081

_dsc06101

_dsc06131 今日も真新しい美しい船が生まれました。

_dsc06151 進水しても来賓・主賓の記念撮影が終わり”進水作業終了!”の号令が発せられるまで作業員の方達は整列したままです。

_dsc06211

ニュースレターによるスペック(仕様)を記載し、補足説明を自分なりに分かり易い様に多少アレンジして記載します。(多少ニュアンス的に間違いがあるかも?。)

<特徴>
1.本船は2機2軸2舵の旅客船兼自動車航送船で、車両甲板への自動車の搭載は船尾・右舷に装備されたランプドアにて行います。

_dsc05661 2機2軸2舵とは主機(メインエンジン)が2機でプロペラ軸が2つ有り舵が2つ有る事を言います。

2.船型は球状船首および単胴船尾を採用し、推進性能と耐航性の向上を図っています。

_dsc06121 船が進む時に作る波による抵抗を造波抵抗と言い、船が推進するうえで最大の抵抗と成ります。この抵抗を小さく=波を小さくするために球状船首を設置します。船が進む時、水中の球状船首で波が作られますが、その後水面上の船首で作られるタイムラグをもった波が逆位相と成るため互いに打ち消しあい波が小さく成ります。ただしこの条件を満たすためには喫水線(船が沈んでいる時の水面と船体のライン)が上記写真の場合は喫水線上限ほどが理想です。逆に球状船首が写真のように水面上に出ると造波抵抗がより大きく成ります。

3.航海中の横揺れを軽減するため、船体中央部にフィンスタビライザを備えてます。

_dsc05621 写真で見えるのが収納された状態のフィンスタビライザーです。手前側にフィン(翼)が出てきます。横揺れが激しい荒天時にフィンが出てコンピューター制御により横揺れが軽減されます。外洋を航行するフェリーや客船には設備されています。最近ではRoRo船(最近の進水式では11月25日、内海造船 因島工場で進水した神王丸)などにも装備されています。

4.船首にバウスラスター2台および、低速時の最大舵角70°のシリング舵を2枚装備し、操船性を向上させています。

_dsc05741

_dsc05591 バウスラスターは船首に船体と平行に装備され、スラスター(プロペラ)が装備されると危険防止のため必ずそのマークが喫水上の船体に描かれます。
シリング舵は低速時に最大舵角左右70°(通常の約2倍)に動かすことが出来ます。シーリング舵の特徴としてスターンスラスタを必要とせず、その場での旋回が可能でバウスラスターとの併用で船体の横移動が可能となり岸壁などへの離接岸が自船のみで行えます。1.の写真、参照して下さい。

5.昇降設備として本船右舷側に車両甲板から客室エントランスに直接移動可能なエレベータを装備しており、高齢者・身障者のバリアフリー設備と成っています。

< 主 要 目 >
 全      長               約89.60m
    幅    (型)             15.40m
 深      さ(型)             10.35m
 計 画 満 載 喫 水(型)               4.30m
 構 造 喫 水 (型)              4.50m
 総 ト ン 数               約1,850トン
 載 荷 重 量 (構造喫水にて)         約530t
 車 両 搭 載 能 力 中型乗用車のみ          25台

          12mトラックのみ         6台
 旅 客 定 員 (24時間未満 臨時定員含む)     250名
 乗  組  員 (その他含む)            20名
 主  機  関 ダイハツ 6DKM-36e       2機 2軸
         連続最大出力 3,400kw x 600/241min x 2
 航 海 速 力    約19.09ノット(約35.35km/h)
 資     格             JG第二種船(沿海区域)
 船  籍  港                鹿児島県鹿児島市
 航     路           鹿児島~竹島~硫黄島~黒島
起工年月日 令和元年8月23日  完工年月日 令和2年3月30日

*これ以降は気に成ったことを書いてみます。

スクリューを見て気に成ったので写真を撮ってみました。

_dsc05651 これはどう見てもスクリューが立ったままで、この状態で回転しても水をかく事が出来ないので前進も後進もしないんじゃないかと?ニュースレターに記載されてませんでしたが可変ピッチプロペラと思ってます。

可変ピッチプロペラとは油圧でプロペラの翼角(ぺら角度)を可変させる機能が付いたスクリューの事です。

そのメリットは翼角を変える事でアナログ的な細かい船速の制御(0km/h~から任意の速度に)や前進・後進(プロペラ軸の回転方向はそのままで翼角を前進と逆にする)・停止(翼角を立てると水をかく力が無くなる)が行える事からバウスラスタとの併用により出入港や離接岸をタグボートなどを必要とせず自船のみで効率的かつ容易に行えます。
また緊急時には前進から後進への切り替えが即座に対応出来ます。(通常の固定プロペラの場合はギヤを介してプロペラの回転を反転させる必要が有るため、エンジンの回転数を下げプロペラを停止させ反転ギヤを入れエンジン回転を上げる一連の操作が必要と成るためタイムラグが生じます。)
エンジンの出力(航走条件が積荷や潮流・風の向きなどにより常時変動=エンジン出力変動が有ると効率が低下する)と燃料消費量の効率的な特性曲線に合わせてプロペラの翼角を変えて常に経済的な運行が行えます。(燃料の消費量が低減され環境にも優しい)

進水する方法は?2枚の写真を見比べて下さい。

_dsc05742

_dsc06221 この爪にワイヤーが引っ掛けられて内側の爪のロックが解除され進水します。また船以外に多くの付属物と共に進水しているのが分かると思います。船体は海側に傾斜したレール上で組み立てているので倒れたりしないように支えを付けたりしています。これらはドッグ入りした時に取り外します。

今日の進水式を見学でき楽しい一時を過ごさせていただきました!。

三島村 様、内海造船(株)さん有難うございました!!。

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。