海上自衛隊 輸送艦「くにさき」因島出港 令和2年4月
海上自衛隊 輸送艦「くにさき」が2月に入港し点検整備を終え4月初旬に出港しました。お見送りのため自衛艦旗とUW旗(ご安航を祈る)を掲げました。
LST4003「くにさき」の主要要目は海上自衛隊のH.Pによると
基準排水量:8,900t、乗員:約135人
主要寸法:長さ:178m、幅:25.8m、深さ:17m、
喫水:6m
主機械:ディーゼル2機2軸、馬力:26,000PS、速力:22kt
特殊装置:高性能20mm機関砲x2、
主要兵装:エアークッション艇x2
右舷の内火艇(11m型 作業艇)が降ろされ先遣隊?として先に造船所に向かいました。遠目に見ると一般的な空母に見えますね。自衛艦は艦艇記号LSTと艦番号4003で用途・識別をしています。LSTはLANDING SHIP TANK の略で戦車揚陸艦の意味で「くにさき」は10両ほどの戦車を積載出来ます。桟橋も何も無い孤島などでは艦尾に積まれているエアークッション艇(LCAC:エルキャックとも言われてます)により運ばれます。よく戦争映画で見るように小型の揚陸艇が直接砂浜に乗り上げ戦車や人員を降ろす方法では無いんです。エアークッション艇だと防水機能が無い車両でも運べて、砂浜を避けて直接平地などへの運搬など出来、運用の幅が広がりますね。船尾ハッチが下方向に開きエアークッション艇が出入りします。
また「くにさき」は輸送艦の用途からも災害派遣などの任務にも貢献しています。
延命工事で入港中の巡視船「せっつ」の向こうへ接岸するようです。
「くにさき」は全通甲板(甲板が船首から船尾まで同一に平たい)に成っており船首部は車両甲板、船尾部はヘリコプター甲板と成っています。
車両の搭載は両舷に有るランプウェイから行われます。また上甲板へはエレベータで移動します。
下の写真での中央船腹には内火艇が収容されるスペースです。
右側の縦長の部分が車両甲板の開口部です。中央部から両サイドに横開きでランプウェイが有ります。入った直ぐにターンテーブルが有るので大型車は直進で進入OKです。
「くにさき」は護衛艦で無いため対戦用の兵装は持たず正しく専守防衛に徹しています。もし対艦ミサイルが飛んで来た時には囮としてアルミ箔(チャフ)を空中にばら撒き相手ミサイルのレーダを誘導するデコイ発射機が装備されています。また同時に対艦ミサイルを迎撃する最後の手段として高性能20mm機関砲(CIWS)が艦橋の船首部と船尾部に配備されています。
手前に一際大きな防舷材が有ります(鯨フェンダーと言われています)。人と比べてその大きさが分かると思います。大型船用に防舷材が整備されていない岸壁などに接岸する場合、これは後方に有るクレーンで入港時に舷側に設置されます。
コンピューターの自動制御により上部の円筒内部のレーダでミサイルを捕捉し、複数の場合は優先順位により射撃を行います。赤いのは火災の場合の放水ノズルです。
艦橋船尾部の左舷に有るヘリ管制所。また上部に有るクレーンの指揮も行います。クレーンは折り畳んだ状態です。
レーダマストの頭頂部に配置されているのがTACAN(タカン)のアンテナでテレビと同じUHF帯の電波を発射して航空機に対して自船の方位・距離を伝える設備です。航空機を搭載する艦には装備されています。(もともとは空母から飛び立った飛行機が帰ってくる時に船を目標とする為に開発されたもの)一際大きなレーダが有りますが、これは対空用(飛行場でも見ますね)で、直ぐ上に有る一般的な長方形のレーダは対水上用(対艦ミサイルなど)その上の後方小さいのが(他のレーダANTが大き過ぎるので小さく見える)航海用レーダです。
4月穏やかな春の日に出港の時がやって来ました。
ラッパの音と共に”出港用意!”の号令が聞こえタグに曳かれ離岸します。
艦上には隊員の方達が整列し汽笛長音一発、造船所の見送りの方達へ”帽フレ!”の号令。
この後、微速前進で我々の前でも”帽フレ!”を頂きました!。手旗信号を送ると受信しましたよ!の返信頂きました。
入港時に離船していた内火艇が、おーい!置いて行かんといて!とばかりにやって来ました。
午後、自転車で水軍スカイラインを走っていると「くにさき」がこちらに向かって来ているのが見え、ラッキー!コンパクトカメラで。
「くにさき」の艦長、隊員の皆様ありがとうございました!。ご安航をお祈り致します。
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