「アマポーラ宗谷」進水式(内海造船 瀬戸田)
令和元年9月27日(金)10時より内海造船 瀬戸田工場においてハートランドフェリー株式会社さんの4,200総トン型旅客船兼自動車航送船(カーフェリー)「アマポーラ宗谷」の進水式が有りました。
今日も開場9:30分に合わせバイクで自宅を出ると空模様が怪しくポツポツと雨粒が。歌で有名な青影トンネルを抜けると本格的な雨と成り合羽を着るはめに。しかし生口大橋を渡ると雨の気配全く無し!。進水式のジンクス通り写真にも見れるように青空が見えてきました。合羽を着たり脱いだりしたので開場時間前に着かなくて心配したけど平日なので何時も通り瀬戸田名産のレモンを使った粉末ジュースとネタ元のニュースレターを頂きました。
ニュースレターによるスペック(仕様)を記載し、補足説明を自分なりに分かり易い様に多少アレンジして記載します。(多少ニュアンス的に間違いがあるかも?。)
<特徴>
1.本船は2機2軸2舵の旅客船兼自動車航送船で、車両甲板への自動車の搭載は船尾に装備されたランプドアにて行います。
2機2軸2舵とは主機(メインエンジン)が2機でプロペラ軸が2つ有り舵が2つ有る事を言います。
2.船型は球状船首およびスプリット型船尾を採用し、推進性能と耐航性の向上を図っています。また、球状船首には流氷対策として、アイスナイフを装備しています。
写真のような球状船首(バルバスバウ)にすると何故、推進性能が向上するのでしょうか?船が進む時に作る波による抵抗を造波抵抗と言い、船が推進するうえで最大の抵抗と成ります。この抵抗を小さく=波を小さくするために球状船首を設置します。船が進む時、水中の球状船首で波が作られますが、その後水面上の船首で作られるタイムラグをもった波が逆位相と成るため互いに打ち消しあい波が小さく成ります。ただしこの条件を満たすためには喫水線(船が沈んでいる時の水面と船体のライン)が上記写真の場合は4Mほど必要です。逆に球状船首が水面上に出ると造波抵抗がより大きく成ります。また流氷対策としてのアイスナイフとは平成19年1月に進水した船形が似た”カランセ奥尻”の下記写真 ⇩ と比べると一目瞭然です。
カランセ奥尻の船首中心線上には突起物が有りません。アマポーラ宗谷は補強された突起物で流氷を切り分けながら航行するんでしょうね。
7月18日進水した神珠丸の進水式の時に撮影したアマポーラ宗谷の船首・船尾ブロックです。バリが有るように見える補強されたアイスナイフを装備した船首部。
スプリット型の船尾(2つの穴の所にスクリューが設置されます)
3.航海中の横揺れを軽減するため、船体中央部にフィンスタビライザを備えてます。
写真で見えるのが収納された状態のフィンスタビライザーです。手前側にフィン(翼)が出てきます。横揺れが激しい荒天時にフィンが出てコンピューター制御により横揺れが軽減されます。外洋を航行するフェリーや客船には設備されています。
4.船首にバウスラスター2台および、低速時の最大舵角70°のシリング舵を2枚装備し、操船性を向上させています。
バウスラスターは船首に船体と平行に装備され、スラスター(プロペラ)が装備されると危険防止のため必ずそのマークが喫水上の船体に描かれます。
シリング舵は低速時に最大舵角左右70°(通常の約2倍)に動かすことが出来ます。シーリング舵の特徴としてスターンスラスタを必要とせず、その場での旋回が可能でバウスラスターとの併用で船体の横移動が可能となり岸壁などへの離接岸が自船のみで行えます。1.の写真、参照して下さい。
5.昇降設備として本船右舷側に車両甲板から客室エントランスに直接移動可能なエレベータを装備しており、高齢者・身障者のバリアフリー設備と成っています。
< 主 要 目 >
全 長 約96.50m
幅 (型) 15.00m
深 さ(型) 10.05m
計 画 満 載 喫 水(型) 4.00m
構 造 喫 水 (型) 4.10m
総 ト ン 数 約4,280トン
載 荷 重 量 (構造喫水にて) 約640t
車 両 搭 載 能 力 8tトラックのみ 21台 乗用車のみ 53台
旅 客 定 員 夏季 3時間又は5時間未満の時 550名
乗 組 員 18名
主 機 関 ダイハツ 6DCM-32e 2機 2軸
連続最大出力 2,648kw x 750min x 2
航 海 速 力 約19.25ノット(約35.65km/h)
資 格 JG第二種船(沿海区域)
船 籍 港 北海道稚内市
航 路 稚内~利尻島、礼文島
起工年月日 令和元年5月23日 完工年月日 令和2年1月31日
進水式までには少し時間が有ったので気に成った所を撮影しました。
フィンスタビライザーの後方にネットで覆われた楕円の穴と排水口らしきものが有ります。ネットで覆われた楕円の穴は冷却水の取り入れ口と思われます。(エンジンや発電機関の冷却用?)
船体の中央部に会社名、そしてシンボルマークとロゴデザインが描かれてます。
オーナーご夫妻の紹介と入場を拍手で迎え国旗掲揚で高揚感高まって来ました。
船名「アマポーラ宗谷」のアマポーラとはスペイン語で”ひなげしの花”(虞美人草・ポピー)の事です。利尻山でしか見る事が出来ないリシリヒナゲシからの由来だと思われます。*カランセ奥尻の船名も奥尻島、自生のエビネの由来だったので。
そして進水作業の開始です。盤木の撤去、安全装置の解除をし最後にオーナーのご婦人により支綱の切断です!。シャンパンが割れました!!。同時にトリガーのロックが解除され進水して行きました。
今日も沢山の人の祝福により、真新しい純白の船が生まれました!。
進水して初めて海に浮かぶ「アマポーラ宗谷」を見つめる主賓・来賓の皆さんと進水式に携わった作業員の人達。
進水後のトリガーの状態(両舷とも内側の爪のロックが解除されワイヤーが外れてるのが分かります。)
今日も楽しい一時を過ごす事が出来ました。ハートランドフェリー(株)、内海造船(株)さんありがとうございました!。
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